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4つの指標から見る50-50の凄さ

4つの指標から見る50-50の凄さ9/19(日本時間9/20)マーリンズ戦で大谷翔平が達成して話題になった「50-50(本塁打-盗塁)」。
大谷が達成するまでメジャーリーグの長い歴史で誰一人達成したことがありませんでした。

50-50の凄さとは何か?
なぜ、50-50は誰も達成ができなかったのか?
なぜ、大谷翔平はメジャー史上、唯一の達成者となれたのか?
4つの指標から「50-50の難しさ」「50-50を達成した大谷の凄さ」を見ていきたいと思います。

20220925_超RIZIN

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50-50とは?50-50の凄さ

これまでメジャーリーグの本塁打と盗塁の1シーズンの同数記録は42-42でした。
キリがいい数字では、40-40が節目となる最高の記録でした。
大谷が達成するまで、40-40の達成者は全員でわずか5人。
42-42は、たった一人しかいませんでした。

40本塁打をする選手や40盗塁する選手はこれまでにたくさんいました。
しかし、40本塁打と40盗塁を同じシーズンに同時に達成する選手となると限りなく少なくなります。また、50本塁打のみ、50盗塁のみをする選手でさえメジャー史上で数十人、数百人と存在しますが、やはり同シーズンにこの50-50を同時達成した選手は皆無でした。それほど、40-40、50-50は達成することが難しい希少な記録。

では、なぜ、本塁打と盗塁を高いレベルで同時達成することが難しいのか?
50-50の凄さとは何か?


一般的にホームランを多く打つ選手はボールを遠くに飛ばす「パワー」が持ち味で大柄な選手が多い半面、盗塁に必要な「スピード」を兼ね備えている選手は少なく、逆に盗塁が得意な選手は「スピード」に優れている反面、ホームランを打つ「パワー」で劣る選手が多いのです。
なので、どちらか一つで高い成績を残すことはできても、ホームランと盗塁の両方で高い成績、しかも1シーズンで同時にそのような成績を残すことは至難の業なのです。


今シーズンの成績をみると、両リーグの「ホームラン数」TOP3(両リーグ併せて6人)に入っているリーグを代表するホームランバッターの「盗塁数」は、大谷が1位の55盗塁で、次点はジャッジの10盗塁。実に2位と45以上の差があります。
 (ア・リーグ=ジャッジ55本10盗塁、サンタンダー43本2盗塁、ソト40本6盗塁
 (ナ・リーグ=大谷53本55盗塁、オズナ38本0盗塁、シュワバー36本5盗塁
※9/22終時点

両リーグの「盗塁数」TOP3(両リーグ併せて6人)の選手の足の速い選手の「ホームラン数」はというと、6人中3人が20本塁打以上打っていますが、残りは一桁台と、やはり、大谷のように40本以上打つような高いレベルでの両立はできていません。
 (ア・リーグ=カバジェロ44盗塁9本、ラミレス40盗塁37本、ガルシア37盗塁7本
 (ナ・リーグ=デラクルーズ65盗塁25本、大谷55盗塁53本、トゥラング46盗塁7本
※9/22終時点

つまり、メジャーリーガーの多くは、パワー型の選手、スピード型の選手とどちらかに分かれるのがほとんどで、パワーとスピードの両方を兼ね備えた選手は、非常に稀なスーパーアスリートと言えるのです。

また、盗塁は怪我のリスクが高いため、高額な年棒をもらっている選手はできるだけ怪我をしないように、リスクの高い盗塁を控える一面もあります。大谷は、DHだから今季は盗塁でもチームに貢献したいという思いで積極的に走ってチームに貢献しようとしているようです。チームのために全力を尽くすという高い意識も大谷選手の他の選手にはない凄さの一つとも言えます。

むろん、DHだから走るという選手はこれまでほとんどいず、DHは足が遅いホームランバッターが多いので、大谷選手のように走ることはできません。
これまでのDHの盗塁数は、1987年のブリュワーズのモリターの45盗塁(16本塁打)が歴代一位で、2位は1992年の同じくモリターの31盗塁(12本塁打)、3位以下は30盗塁未満が並びます。
DHの盗塁数としてはモリターだけが別格でしたが、彼は、典型的なパワーヒッターのDHではなく、足の速いDHだったので、逆に本塁打はあまり打てませんでした。(キャリア最高は22本)
よって、DHで「30-30」でさえ達成した選手は皆無です。
本塁打を打ち盗塁もするDHは、野手よりもさらに稀な存在なのです。

大谷は、DH史上初の50本塁打でDH最多本塁打記録を更新しただけでなく、DH史上初の50盗塁でDH最多盗塁記録をも更新しました。さらには、DH史上初の30-30をも達成し、DHの記録を軒並み更新しました。

以下の記事でも詳しく伝えています。

mlb-data.com

50-50(本塁打-盗塁)の凄さを示す指標その1 50本塁打選手の盗塁数の比率・盗塁数ランキング

大谷が達成するまで、メジャー史上で
50本塁打は49回 内、2桁盗塁以下は31回(63.2%)、2桁盗塁は14回(28.5%)、20盗塁は4回(8.1%)、30盗塁以上は0回(0%)
40、50盗塁どころか、30盗塁以上でさえこれまで存在しませんでした。
50発組が同一シーズンにマークした最多盗塁は「24」をメイズとロドリゲスの二人だけが記録しています。

50-50(本塁打-盗塁)の凄さを示す指標その1

50本塁打の選手の中でこれまでの盗塁数ランキング
1位1955年ジャイアンツの『史上最強外野手』ウィリー・メイズ(51本、24盗塁
1位2007年ヤンキースの『A―ロッド』アレックス・ロドリゲス(54本、24盗塁
3位1996年オリオールズのブレイディ・アンダーソン(50本、21盗塁
3位1998年マリナーズのケン・グリフィーJr.(56本、21盗塁

50本塁打の選手の中でこれまでの盗塁数ランキング

現在50盗塁以上記録している大谷が50本塁打を打ったことで、
50本塁打は50回。内、2桁盗塁以下は31回(62%)、2桁盗塁は14回(28%)、20盗塁は4回(8%)、30盗塁以上は1回(大谷のみ、2%)

50-50(本塁打-盗塁)の凄さを示す指標その1

50本塁打の選手の中でこれまでの盗塁数ランキング(2024年更新)
1位2024年ドジャースの大谷翔平(52本、53盗塁)※9/20時点
2位1955年ジャイアンツの『史上最強外野手』ことウィリー・メイズ(51本、24盗塁
2位2007年ヤンキースの『A―ロッド』ことアレックス・ロドリゲス(54本、24盗塁
4位1996年オリオールズのブレイディ・アンダーソン(50本、21盗塁
4位1998年マリナーズのケン・グリフィーJr.(56本、21盗塁

50本塁打の選手の中で2024年までの盗塁数ランキング

50-50(本塁打-盗塁)の凄さを示す指標その2 50盗塁選手の本塁打数ランキング

大谷が達成するまで、メジャー史上、
50盗塁達成者は241回、内、30本塁打以上はわずか数回で、
本塁打数の最高は「41」を2023年にアクーニャJr.が記録している。

50盗塁の選手の中でこれまでの本塁打数ランキング
1位2023年ブレーブスのロナルド・アクーニャJr.(73盗塁、41本
2位1987年エリック・デービス(50盗塁、37本
3位1990年ジャイアンツのバリー・ボンズ(52盗塁、33本

50本塁打を達成者より50盗塁達成者の方がはるかに多いので、その中で30本以上は数人、40本塁打以上も1人いましたが、それでも241回中、50本塁打以上打った選手は一人たりとて存在しませんでした。

 

現在50本塁打以上記録している大谷が50盗塁を記録したことで、
50盗塁達成者は242回となり、本塁打数の最高記録を「53」として、「41」のアクーニャJr.の記録を大幅に更新した。

1位2024年ドジャースの大谷翔平(53盗塁、52本)※9/20時点
2位2023年ブレーブスのロナルド・アクーニャJr.(73盗塁、41本)
3位1987年エリック・デービス(50盗塁、37本)

50-50(本塁打-盗塁)の凄さを示す指標その3 同一シーズンで50本塁打&50盗塁達成回数「1」

シーズン50本塁打はメジャー史上50回、とシーズン50盗塁は242回
そして、同一シーズンでその両方を達成した選手は1回(2024年の大谷翔平)

50-50(本塁打-盗塁)の凄さを示す指標その3

50-50(本塁打-盗塁)の凄さを示す指標その4 50本塁打選手の「平均盗塁数」と50盗塁選手の「平均本塁打数」

大谷が達成する以前の選手が1シーズンに達成した50本塁打は49回で、彼らの平均盗塁数はわずか7.4個
大谷は53盗塁と破格の成績。

大谷が達成する以前の選手が1シーズンに達成した50盗塁は241回で、彼らの平均本塁打数はわずか8.4本
大谷は52本塁打とこちらも破格の成績。

平均と大谷の記録を比べると、いかに50-50を両立することが桁外れに凄いか分かるかと思います。

50-50(本塁打-盗塁)の凄さを示す指標その4

 

なぜ大谷翔平は、50-50(本塁打-盗塁)の凄い記録を達成できたのか?

以上50-50の凄さを四つの指標からみていきました。

では、大谷がなぜ、こんなすごい記録を達成できたのでしょうか?
大谷はこれまで、2021年の26個(プロ野球日本ハム時代は5年間で計13個だった)が最多だったのが今季ここまで盗塁数を大幅に増やせたのはなぜか。

大谷は元々高い身体能力で足は速かったのですが、今季、打者専念となることで春季キャンプから盗塁死ゼロを目標にトレーニングに励み、コーチらと投手の癖などを研究したそうです。

大谷が前人未到の50-50を達成できたのは、元々の高いポテンシャルに加え、強い意志を持って、地道に努力を重ねた結果のようです。
7月のオールスター戦明けからペースを上げ、8月は1試合2盗塁が3回、3盗塁も8月3日と9月2日の2度記録し、今季の成功率は驚異の90%超で、この成功率の高さもアメリカのメディアで大いに賞賛されています。それにしても、数ヶ月でこんな記録を達成できるのは「天才」「怪物」、形容詞が見当たらないほど凄いですね。

20220925_超RIZIN

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