2024年大谷翔平の大活躍で、DH(指名打者)が再び注目されています。
大谷翔平は、DH選手史上最高の1シーズンの「WAR」(=勝利貢献度)9.2を記録し
DH史上初のMVP受賞の偉業が確実視されています。
現役の大谷以前にはどんなすごい歴代のDH選手がいたのか?
大谷翔平は歴代の選手にどこまで迫っているのか?
これまでの歴代史上最高のDHの選手をランキング形式で紹介します。
1973年以降の歴代のDH選手の受賞回数や各成績から最後にメジャーリーグ歴代史上最高のDHランキングを発表します。
すべてのランキングを元に累積ポイントでの独自ランキングとなります。
- DH(指名打者)とは?
- メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ①エドガー・マルチネス賞受賞回数
- メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ②DHシーズンでの通算ホームラン数
- メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ③DHシーズンでの通算打点数
- メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ④DHシーズンでの通算打率
- メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ⑤DHシーズンでの通算OPS
- メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ⑥DHシーズンでの通算盗塁数
- メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ⑦DHシーズンでの通算WAR
- メジャー 歴代史上最高のDH 総合ランキング
- メジャー 歴代史上最高のDH 総合ランキング TOP5選手
DH(指名打者)とは?
DH(指名打者)制とは、1973年に誕生した制度(Designated Hitterの略)で、
投手の代わりに打者専門の選手が打席に立つ制度です。DH選手は守備には就かず、先発メンバーには10選手が名を連ねます。
1972年までは、投手が9番目の打者として打席に立っていました。しかし、当時は過度な投高打低(投手の成績がよく、打者の成績が悪い)でした。野球の華はホームランなどの攻撃で点数がたくさん入る事なので、点数が入らない投高打低ではファンが退屈し、野球人気が低迷し危機的状況にありました。観客動員数が12球団のうち9球団が100万人を割るほどの状態だったそうです。
そこで、1973年にア・リーグが試合の得点を増やすために導入しました。
野手よりもさらに打てない投手の代わりに打撃力のある選手が打席に立つことが可能になったのです。
ですので、DHの選手は、打撃力に秀でた選手ですが守備能力に難のある選手が打撃特化型の選手として選ばれます。特に、アベレージヒッターや盗塁よりも、打線の中軸を狙えるバワー型の選手が求められています。
MLBでは1シーズン30本塁打とOPS.900の両方をコンスタントにクリアできるDH選手が一流とされています。
2021年まではア・リーグだけで採用されていた制度(2020年はコロナ禍の中の特例措置でナ・リーグでも採用)でしたが、2022年からは正式にナ・リーグでもDH制度が採用され、これにより全リーグでDH制度が採用されたことになりました。
メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ①エドガー・マルチネス賞受賞回数
まずは、メジャーリーグ 歴代史上最高のDHランキングの要素一つ目
「エドガー・マルティネス賞(旧 最優秀指名打者賞)受賞回数のランキング」です。
エドガー・マルティネス賞は年間で最も活躍した指名打者に贈られる賞。
このため、2021年まではDH制度を採用しているアメリカンリーグのみの賞。
2022年からはナショナルリーグも指名打者制度を採用したため、全リーグの選手が対象となり、より受賞難度が高まったと言えます。
1973年の設立当初は最優秀指名打者賞でしたが、後に現れた「史上最高のDH」と称されるエドガー・マルティネスの功績を称えて、2004年に改称されました。
最優秀指名打者賞の受賞回数の多い順位にランキング化しました。
エドガー・マルチネス賞受賞回数 | |||
---|---|---|---|
順位 | 選手名 | チーム名 | 受賞回数 |
1位 | デビッド・オルティーズ | レッドソックス | 8回 |
2位 | エドガー・マルチネス | マリナーズ | 5回 |
3位 | 大谷翔平 ※現役 | ドジャース | 3回 |
ハル・マクレー | ロイヤルズ | 3回 | |
5位 | ネルソン・クルーズ | レンジャーズ | 2回 |
ポール・モリター | ブルワーズ | 2回 | |
デーブ・パーカー | パイレーツ | 2回 | |
ハロルド・ベインズ | ホワイトソックス | 2回 | |
ドン・ベイラー | エンゼルス | 2回 | |
グレッグ・ルジンスキー | フィリーズ | 2回 | |
ウィリー・ホートン | タイガース | 2回 | |
12位 | 18人 | 1回 |
メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ②DHシーズンでの通算ホームラン数
DHで最も求められる能力の一つがホームラン。
この項目以降は、以下の条件でランキング化しました。
①エドガーマルチネス賞を2回以上受賞した選手のみを対象
②DHで打席に立った回数が1シーズンの内半数以上のシーズンの通算成績
DHシーズンでの通算ホームラン数 | |||
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順位 | 選手名 | 通算本塁打数 | 累積ポイント |
1位 | デビッド・オルティーズ | 531 | 11 |
2位 | ドン・ベイラー | 266 | 10 |
3位 | ネルソン・クルーズ | 263 | 9 |
4位 | エドガー・マルチネス | 251 | 8 |
5位 | ハロルド・ベインズ | 244 | 7 |
6位 | 大谷翔平 ※現役 | 225 | 6 |
7位 | ハル・マクレー | 154 | 5 |
8位 | ポール・モリター | 119 | 4 |
9位 | ウィリー・ホートン | 102 | 3 |
10位 | グレッグ・ルジンスキー | 84 | 2 |
11位 | デーブ・パーカー | 66 | 1 |
※1位=11pt、以下1ptずつダウン |
メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ③DHシーズンでの通算打点数
続いては、勝負強さの指標にもなる通算打点数ランキングです。
DHシーズンでの通算打点 | |||
---|---|---|---|
順位 | 選手名 | 通算打点 | 累積ポイント |
1位 | デビッド・オルティーズ | 1716 | 22 |
2位 | ハロルド・ベインズ | 1039 | 17 |
3位 | エドガー・マルチネス | 1006 | 17 |
4位 | ドン・ベイラー | 979 | 18 |
5位 | ハル・マクレー | 882 | 12 |
6位 | ポール・モリター | 756 | 10 |
7位 | ネルソン・クルーズ | 743 | 14 |
8位 | 大谷翔平 ※現役 | 567 | 10 |
9位 | ウィリー・ホートン | 425 | 6 |
10位 | グレッグ・ルジンスキー | 317 | 4 |
11位 | デーブ・パーカー | 303 | 2 |
メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ④DHシーズンでの通算打率
続いては、好打者の指標となる通算打率ランキングです。
DHシーズンでの通算打率 | |||
---|---|---|---|
順位 | 選手名 | 通算打率 | 累積ポイント |
1位 | ポール・モリター | .319 | 21 |
2位 | エドガー・マルチネス | .313 | 27 |
3位 | ハル・マクレー | .295 | 21 |
4位 | ハロルド・ベインズ | .291 | 25 |
5位 | デビッド・オルティーズ | .286 | 29 |
6位 | 大谷翔平 ※現役 | .282 | 16 |
7位 | ネルソン・クルーズ | .274 | 19 |
8位 | ウィリー・ホートン | .273 | 10 |
9位 | グレッグ・ルジンスキー | .265 | 7 |
10位 | デーブ・パーカー | .264 | 4 |
11位 | ドン・ベイラー | .258 | 19 |
メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ⑤DHシーズンでの通算OPS
続いては、打者としての総合的な能力の指標となる通算算OPS(出塁率+長打率)ランキングです。
出塁率が高く、長打も打てるという近年最も重視されている強打者の指標です。
DHシーズンでの通算OPS | |||
---|---|---|---|
順位 | 選手名 | 通算OPS | 累積ポイント |
1位 | エドガー・マルチネス | .964 | 38 |
2位 | 大谷翔平 ※現役 | .946 | 26 |
3位 | デビッド・オルティーズ | .936 | 38 |
4位 | ネルソン・クルーズ | .893 | 27 |
5位 | ポール・モリター | .857 | 28 |
6位 | ハロルド・ベインズ | .833 | 31 |
7位 | グレッグ・ルジンスキー | .811 | 12 |
8位 | ハル・マクレー | .808 | 25 |
9位 | ドン・ベイラー | .785 | 22 |
10位 | ウィリー・ホートン | .738 | 12 |
11位 | デーブ・パーカー | .727 | 5 |
メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ⑥DHシーズンでの通算盗塁数
スプリント力が必要な盗塁数のランキングです。
DHは、打撃特化型なのでパワー型が多い選手が多く、DHで盗塁数の多い選手は稀な存在です。
DHシーズンでの通算盗塁数 | |||
---|---|---|---|
順位 | 選手名 | 通算盗塁数 | 累積ポイント |
1位 | ポール・モリター | 187 | 39 |
2位 | 大谷翔平 ※現役 | 145 | 36 |
3位 | ドン・ベイラー | 115 | 31 |
4位 | ハル・マクレー | 92 | 33 |
5位 | エドガー・マルチネス | 26 | 45 |
6位 | デビッド・オルティーズ | 16 | 44 |
7位 | ネルソン・クルーズ | 16 | 32 |
8位 | グレッグ・ルジンスキー | 8 | 16 |
9位 | デーブ・パーカー | 7 | 8 |
10位 | ウィリー・ホートン | 7 | 14 |
11位 | ハロルド・ベインズ | 5 | 32 |
メジャー 歴代史上最高のDH ランキング ⑦DHシーズンでの通算WAR
その選手がチームの勝利にどれだけ貢献したか、選手としての価値を測る指標である通算WAR(勝利貢献指数)ランキングです。
WARは、打撃だけでなく守備の貢献もプラスされるので、年間のMVPの最も重要な指標とされています。
DHは守備につかないので、守備の面ではマイナス補正されてしまいます。
DHシーズンでの通算WAR | |||
---|---|---|---|
順位 | 選手名 | 通算WAR | 累積ポイント |
1位 | デビッド・オルティーズ | 54.6 | 55 |
2位 | エドガー・マルチネス | 46.5 | 55 |
3位 | ポール・モリター | 31.8 | 48 |
4位 | 大谷翔平 ※現役 | 28.7 | 44 |
5位 | ハル・マクレー | 26.2 | 40 |
6位 | ネルソン・クルーズ | 25 | 38 |
7位 | ハロルド・ベインズ | 22.2 | 37 |
8位 | ドン・ベイラー | 15.1 | 35 |
9位 | グレッグ・ルジンスキー | 7.1 | 19 |
10位 | ウィリー・ホートン | 1.6 | 16 |
11位 | デーブ・パーカー | 0.5 | 9 |
メジャー 歴代史上最高のDH 総合ランキング
DH歴代最高選手ランキング | ||||
---|---|---|---|---|
順位 | 選手名 | 通算成績(累積ポイント) | エドガーマルチネス賞 | 合計 |
1位 | デビッド・オルティーズ | 55 | 40 | 95 |
2位 | エドガー・マルチネス | 55 | 25 | 80 |
3位 | 大谷翔平 ※現役 | 44 | 15 | 59 |
4位 | ポール・モリター | 48 | 10 | 58 |
5位 | ハル・マクレー | 40 | 15 | 55 |
6位 | ネルソン・クルーズ | 38 | 10 | 48 |
7位 | ハロルド・ベインズ | 37 | 10 | 47 |
8位 | ドン・ベイラー | 35 | 10 | 45 |
9位 | グレッグ・ルジンスキー | 19 | 10 | 29 |
10位 | ウィリー・ホートン | 16 | 10 | 26 |
11位 | デーブ・パーカー | 9 | 10 | 19 |
メジャーリーグ 歴代史上最高のDH 総合ランキングは、
1位はやはり8度のエドガーマルチネス賞受賞の大砲デビッド・オルティーズでした。
2位はとにかくハイアベレージと勝負強さを兼ね備えた史上最高のDH、生涯マリナーズのエドガー・マルチネス。
3位は、受賞2回以上という条件付きでのランキングでしたが、現役で唯一の大谷翔平がランクイン。
4位は、DHでは珍しい俊足好打の稀代の先頭打者でもあったポール・モリター。
5位はハル・マクレー、6位はネルソン・クルーズ、7位はハロルド・ベインズ、8位はドン・ベイラー、9位はグレッグ・ルジンスキー、10位はウィリー・ホートン、11位はデーブ・パーカーとなりました。
ちなみに、現役メジャーリーガーで大谷以外にエドガーマルチネス賞を受賞したのはマーセル・オズナ(2020年の1回)。
今季、序盤からずっと大谷との三冠王争いのライバルとして立ちはだかった強打者です。
以上、メジャーリーグ 歴代史上最高のDH 総合ランキングでした。
メジャー 歴代史上最高のDH 総合ランキング TOP5選手
メジャーリーグ 歴代史上最高のDH 総合ランキングTOP5選手を紹介します。
1位 デビッド・オルティーズ
メジャー歴代最強の指名打者1位に輝いたオルティーズは、キャリアのほとんど(指名打者2029試合、一塁手278試合)を指名打者としてプレーし、指名打者のシーズンで500本を超える本塁打を放ちました。(指名打者としての打席は6829打席、OPS.915、打率.290、本塁打236本塁打と1209打点は指名打者記録)
強力な打撃に加え、驚異の勝負強さを持った稀代のクラッチヒッターであり、レッドソックスで2004年のワールドシリーズで大活躍し、2013年はワールドシリーズで優勝し、指名打者として3人目、フルタイムの指名打者として松井秀喜以来2人目となるワールドシリーズMVPに輝きました。
2位 エドガー・マルチネス
三塁手としてプレーし、メジャ−6年目に初の首位打者を獲得。
これはマリナーズ球団史上初の快挙でもありました。
しかし、1993年、1994年と度重なる故障で、1995年から指名打者として出場することになりましたが、それにより打撃の才能がさらに大きく開花することになりました。
1995年、指名打者として初めてフルシーズンで出場し打率.356で首位打者を獲得。
シルバースラッガー賞や初の最優秀指名打者賞を受賞。MVP3位。
高い打率に、高い出塁率と、パワーとテクニックを兼ね備えたまさに最高のDH選手でした。1995年以来、OPSは、超一流の成績である10割超えを3年連続(1995年から6年間で、驚異の5度の10割超え)など、MLBの歴史上で実質的に初めての本格的な指名打者として、10年間活躍し続け、史上最高のDH選手と讃えられました。
あまりに素晴らしい指名打者であり、またMLBで歴史上で実質的に初めての本格的な指名打者と称されたことから、最優秀指名打者賞は、自身の名前を冠したエドガー・マルティネス賞と改称されました。
生涯キャリア18年間をマリナーズ一筋で、11番はマリナーズの永久欠番となっています。
3位 大谷 翔平
大谷翔平は二刀流として投手をしながら指名打者として数々の記録を残しています。
特に、打者専念し、フルタイムの指名打者として挑んだ2024年は、
DH選手史上最高の1シーズンの「WAR」(=勝利貢献度)9.2を記録し、
またDH選手史上最多の59盗塁を記録、DH選手史上初の40-40を達成。
さらにメジャー史上初の50-50の大記録を達成。
それら圧倒的な成績で、今季は、DH選手史上初のMVP受賞の偉業が確実視されています。
4位 ポール・モリター
モリターは、多彩なポジションを守れ、卓越したバッティング技術とスプリント力を兼ね備えていました。
キャリア通算3319安打を達成。これは、MLB歴代10位の記録。
通算打率も3割を超え、OPSも.817と非常に安定した高い成績を残しました。スプリント力を生かし、通算盗塁数は504盗塁、指名打者のシーズンは187盗塁と走れる指名打者でもありました。
指名打者としては1188試合に出場したが、三塁手791試合、二塁手400試合、一塁手197試合、遊撃手57試合、外野手50試合とユーティリティープレイヤーでもありました。
5位 ハル・マクレー
1979年代後半〜1980年代前半のロイヤルズの主軸としてチームに貢献。
1976年、打率332と高打率を残し、OPS.868はアメリカンリーグでトップでアメリカンリーグMVPで4位。
1982年は、133打点で打点王のタイトルを獲得し、再びアメリカンリーグMVPで4位。
さらに、この年唯一のシルバースラッガー賞を獲得。
強肩、俊敏で、守備も優れて外野手としても一流だった。
さらに、引退後も指導者としても成功しました。
以上、史上最高のDH選手TOP5の選手紹介でした。
今回のランキングで1、2位となったオルティーズ、マルチネス以外にも、モリターやマクレーなど、他にも素晴らしい歴代DH選手がいますね。
そんな中、現役の大谷翔平がこのTOP5に入っています。
大谷は、3年連続エドガー・マルチネス賞を受賞中。(3年連続はオルテイーズに次いで史上二人目)それも、2022年に正式にナ・リーグも対象になり受賞の難易度が高くなっている中での価値ある3年連続受賞。
今年は、11月15日にエドガー・マルティネス賞が発表される予定です。
今季も大谷が4年連続となる受賞が確実視されています。
大谷は今季、歴代DH史上最高記録のWARを記録したり、DH最高の盗塁数を達成したり大活躍。また、11月21日(日本時間22日)に発表されるMVPのDH史上初受賞がほぼ確実にしています。
大谷が、このランキングの頂点に立ち、「史上最高のDH選手」と称される日も遠くはないかもしれません。
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